科学は、進歩する。
人間は、ドンドン楽になる。

戦争。
戦い、争い、争い、戦う。

科学が進歩するに連れ、戦争において、敵を安全に攻撃できるようになった。
自分達が死なないために。



人を殺す距離が遠くなっていった。
初めは、素手だったろう。
それが、道具を使うようになり、
石。
石器。
・・・刀。
弓矢。
どんどん距離が長くなる。
そして、

鉄砲の登場。
指を曲げるだけで人が殺せる。

鉄砲も、やはり進化する。
銃弾の飛距離がどんどん長くなる。

そして、ミサイル登場。
ミサイルも進化し、
もう、距離なんて関係ない。
海を越え、山を越え、標的を粉々にする。
指を曲げる必要も無い。
唯、
ボタンを押すだけ。
スイッチひとつで。
ワンタッチ人殺し機能。
それも、標的は複数になっていった。
目的は単数の場合もあるが、効果は複数人に及ぶ。

血を見ることも無い。
人が死ぬその瞬間を見ることも無い。

故に、「人を殺した」という感覚も薄れていく。
考えてみる。
今、この世界で、この常識の元で、
@部屋にある灰皿で殴って人を殺す。
@包丁で人を殺す。
@銃で人を殺す。
@ミサイルで人を殺す。
どれが一番やりやすいだろう。
どれが一番怖くないだろう。自分が。
上に上げた例は、下にいく程、楽だ。
灰皿
人を殴ったという衝撃、それによって出た血、死んでいく表情、などを一番近くで感じる。
包丁
衝撃が少なくなる。

銃弾を発射した時の衝撃はあるが、それは直接人を殺した衝撃ではない。
血、表情、そういうものも、遠くなる。
ミサイル
なにもない。

ゲームになる。

科学が進歩を続ける限り、殺す側の人が死ぬ確率はどんどん下がる。
飛行機も、人が乗らなくても飛ぶ。
戦争の現場に、殺す側の人はいなくてもいい。
標的さえいれば、それでいい。

ゲームだ。

ゲームは、大人より、子供の方が上手い。
そうなると、軍人は子供ばかりか?
子供は気付かない。
唯、ゲームをやっているだけだ。
人を殺しているなんて知らない。
もしかしたら、もうそうなっているのかもしれない。
ゲームをして、敵を倒す。
そうすると、何処かで、同じように、人が死んでいるのかもしれない。
怖い。

今、戦争をしている人。
これからしようとしている人。
軍人ではなく、政治的に、命令する側の人。
自分の手を汚さず、軍にやらせ、利益を得る人。

一度、殺してみてはどうでしょう。

灰皿で。

もう、戦争をしたいとは思わないだろう。
もう、殺したいとは思わないだろう。
人間なんだから。

でも、病み付きになってもらっても困る。
そして、誰を殺すんだ?

戦争をしている人を止めるために、
大勢の命を救うために、
誰かが犠牲になるのか?
馬鹿じゃねぇか?
もし、世界を救うために、世界平和のために、
犠牲になるという人がいたら。
志願者がいたら、
俺は、そいつを守る。
世界平和?クソ喰らえ。
そいつのその勇気を、思いを守れ。
そいつは、戦争を止めるために志願している。
ならば、戦争を止めよう。
戦争を始めようとするやつも、もう始めているやつも、攻撃されてるヤツも、反撃しているヤツも、全て、
殺してやる。
俺も死んでやる。
そいつ一人が残ればいい。
それが世界平和。
でも、そいつは望まないだろう。
俺も望まない。
平和とは何か。
誰かの犠牲の上に成り立っている平和なら、
そんなハリボテなら、いらない。
本当の平和とは何か。
有り得るのか。
もしかすると、人が一人もいない地球こそが、一番の平和なのではないか。
知るか。
俺はまだ生きなければならない。
やり残した事がある。
俺が死ぬと、泣いてくれるだろう人がいる。

環境問題。

自然破壊を止めたいのならば、
人間は地球を蝕んでいると叫ぶなら、
まずお前が死ね。

木々を守ろう。
自然破壊を止めよう。
そういいながら、お前は生きているではないか。
息をしているではないか。
車を使っているではないか。
クーラーをきかせているではないか。

なめんな。

そんな意志なら、持たない方が良い。

俺はそう思う。

あくまでも、俺の意見であり、俺の主張である。
人の命は重い。
重過ぎる。
人が一人死ぬ。
何人が泣き、何人が落胆し、何人が悔やむ?
人が二人死ぬ。
倍の人が、泣く。
人が大勢死ぬ。
何人の人が、泣かない?何人の人が…。

俺は生きている。
地球を蝕みながら、自然を破壊しながら、
俺の国は、人を殺している。
直接、間接。
殺している。
俺は生きている。
生きながらに死んでいる。
俺の魂は、揺れている。
「これでいいのか?」
訴えている。
俺の魂は、冷めている。
「どうでもいい」
ダレている。

何も考えるな。

生きている。
それだけでいい。

死ぬ事はできない。
それだけでいい。

死に直面した時、「嗚呼、楽しい時間を過ごしたなぁ。」
そう思える生き方をしろ。

俺は、そういう人になりたい。
いつか、成る。

平成十三年九月二十九日一時三十五分
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